MPD -A/A RADAR-
空対空レーダーページ

F-15Eに搭載されているAN/APG-70パルス・ドップラーレーダーは制空型F-15に搭載されているAN/APG-63同様の空対空能力を持っています。
A/A RADARページはレーダーが空中を走査する様子を表示し、航空機が探知された場合にはその位置を示します。さらにはその目標を追跡し、目標指示した場合には攻撃に必要な情報を表示します。
なおA/AレーダーとA/Gレーダーを同時に使用することはできません。


A/A RADARページのRWSIモード。
表示内容はTWS以外のどのモードでもほぼ同様。

VSモード以外では横軸は方向(左60°〜右60°)、縦軸は距離(0〜選択された範囲の最大)となっています。
@はバンク角インジケーターで水平線の角度を示しています。
Aはステアポイントで数字はステアポイントの番号です。
BとCは探知された目標で、通常はCの(■)で表示されますがIFFにより味方と識別された場合はBの(●)で表示されます。また暗い色で表示されているのは過去の走査で探知された時の位置を示します。
MPD左端と下端のスケールはそれぞれレーダーアンテナの上下方向、左右方向の動きを示すためのもので、スケールに接して動いているV字マークはアンテナの現在位置を示しています。
MPD上の左下、上の図では"2 HI"とあるうち"2"は現在走査している高さ(bar)、"HI"は現在放射しているPRF(パルス反復周波数)を表しています。

A/A RADARページには様々なモードがありますがプッシュボタンの役割はいずれのモードでもほぼ共通です。

捜索モード
目標指示がされていない場合レーダーは捜索(Search)モードとなります。捜索モードには以下の8種類がありPB5〜10で選択できます。これら捜索モードにはそれぞれ一短一長があるため場合によって使い分ける必要があります。

RWSモード
RWS(Range While Search)モードにはRWSH,RWSM,RWSIの3種類のモードがあります。
RWSH(High RWS)モードでは高PRF(Pulse Repetition Frequency:パルス反復周波数)の放射を行います。高いPRFは高い接近率の目標を探知するのに適しています。しかし接近率の低い目標は探知できません。
RWSM(Medium RWS)モードでは中PRF放射を行います。中PRFは低い接近率の目標を探知することができます。しかし長距離目標の探知は難しく、またクラッター(地表などからの乱反射)が返ってくる傾向があります。
RWSI(Interleaved RWS)モードは高PRFと中PRFの放射を交互に行います。RWSH、RWSM両方の目標が探知できるため普通は主にこの捜索モードを用いることになるでしょう。

RGHモード
RGH(Range Gated High)モードは他のモードの中間のPRFを用います。そのため接近率が高い目標と低い目標の両方が同時に探知できます。RWSIと比べると探知できる目標の範囲(距離や接近率)は小さくなりますがより早く探知することができます。

VSモード
VS(Velocity Search)モードは接近速度が80〜2400ノットの目標を探知します。他のモードと異なりスクリーン上の目標表示位置の縦軸は速度になります。一番下が80ノットで一番上が2400ノットです。上に表示されるほど接近率の高い目標ということになります。

VCTRモード
VCTR(Vector)モードは走査を毎秒35°で行います。走査に通常の2倍の時間がかかりますがレーダー反射の小さい目標を探知することができます。レーダー反射が小さい目標とは反射面積の小さい真正面や真後ろを向いている航空機もしくはステルス性の高い航空機のことです。このモードは高PRFを用いるため低接近率の目標は探知できません。

TWSモード
TWS(Track While Scan)モードは複数の目標を追跡することができます。TWSモードにはTWS,HDTWSの2種類のモードがあります。TWS,HDTWSモードではPB16,17,19,20の下に矢印(三角)が表示され、各ボタンを押すことでそれぞれの方向に走査エリアをずらすことが出来ます。
TWSモードは特定の範囲内にいるすべての探知物を追跡します。走査は2秒間で行われます。走査する範囲は2bar 60°,4bar 30°,6bar 15°のいずれかで、PB12で切り替えられます。
HDTWS(High-Data rate TWS)モードは走査を1秒間で行うTWSです。データの更新が早くなりますが走査する範囲は2bar 30°に限られます。

追跡モード
レーダースクリーン上の目標をクリックするなどして目標が指示されるとレーダーは追跡(Tracking)モードとなります。RWS,RGH,VS,VCTRモードで目標指示された場合はSTTモードに切り替わります。TWSモードの場合はそのモードままで追跡を継続します。

STTモード
STT(Single Target Tracking)モードは指示された目標だけを表示し、その目標についての情報を表示します。それ以外の目標はレーダーの範囲内にあっても表示されなくなります。


A/A RDRページのSTTモード。AIM-120選択時の表示。

@は現在指示され追跡中の目標です。目標から伸びている短い線は目標の移動方向を示しています。
Aの3つの数値は左から目標の飛行速度、こちらから見た目標の角度、目標の進行方向です。
Bは目標の高度で15-0は15,000フィートを表しています。
Cは目標の接近速度で単位はノットです。
DとEは兵器の命中までの時間です。Dはすでに発射した兵器が命中するまでの時間のうち最小のもの/最大のものです。Eは現在発射した場合の命中までの時間です。
Fはシュートキューで現在選択中の兵器を発射して命中可能な場合に表示されます。
これらはHUDにもほぼ同じ内容が表示されます。

TWSモード
STTモードが指示した目標以外表示しないのに対しTWSモードでは指示目標以外の目標も追跡表示します。さらにセカンダリーターゲットを指示することができ、プライマリーターゲットも含め最大8つの目標を同時に指示することができます。


A/A RDRページのTWSモード。2つの目標を同時追跡している。

@はプライマリーターゲット(以下PDT)、Aがセカンダリーターゲット(SDT)を表すシンボルです。これ以外のシンボルは捜索モードと同じです。

スクリーン上の探知目標をクリックするとPDTとなります。さらに他の目標をクリックするとそれが新たにPDTとなり前のPDTはSDTとなります。
SDTがある場合にAIM-120を複数発射すると1発目はPDTに対して発射され、2発目以降はSDTのうち近いものから順に発射します。