Ilyushin
Il-28 "Beagle"

Italeri 1:72

惰性で
前回のF4D-1の製作が終わった翌日から今回のIL-28の製作を始めました。F4Dが楽に出来てしまったことと一旦道具を片づけてしまうと再び製作を開始するのが面倒になるので製造ラインを連続稼動させることにしたわけです。とにかく現在ストックが山積み状態なので1つでも減しておこうというのも目的だったりします。
IL-28について
IL-28ビーグルと聞いても知らない人が多いのではないでしょうか。ビーグルに限らず50年代の航空機は傑作機であっても大戦機や現用機ほど知られていないものが多いようです。
しかしゲームのページでも紹介している今人気のフライトシミュレーター“FALCON4.0”に登場(これです)したことでちょっとだけ知名度がUPしたかもしれません。そうゆうわけでこのキットを作るには今がタイムリーとも言えるでしょう。

実機は原型機が1948年に初飛行し量産機は1950年に就役しています。直線の主翼と円筒形の胴体、機首に航法士の観測窓があるなど大戦中の爆撃機をジェットエンジンにしただけのような基本デザインですが、胴体をぎりぎりまで細くしたり軽爆撃機ながら尾部銃座を設置したことなどから重量バランスや安定性を維持するために尾翼を後退翼にするなど異様な形態となりました。弾倉には最大3000kgの爆弾が搭載でき、尾部ターレットだけでなく機首にも固定式の23mm機関砲が2門装備されています。シンプルな構造ゆえに大量生産され、中国でもH-5として1980年代まで製造されるなど共産圏を中心に多くの国で使用され、一部の国では現在でも使用を続けています。


チェコ製イタリアンキット
パッケージこそイタレリですがキット自体はチェコのメーカーのものです。デカールはイタレリ独自のもの。モールドはかなりだるい凹でペーパー掛けするとすぐに消えてしまいそうです。色は国産キットに良くある色よりは暗いグレーで表面は梨地になっています。あちこちにバリやヒケが見られるなど手がかかりそうな雰囲気を漂わせています。
同社からは練習機型IL-28Uも発売されています。

梨地がかったチェコ製キット。

苦労しそうな製作
機首には操縦席と航法兼爆撃手席があります。操縦席にはコンソールがあるものの航法士席の方はテーブルと爆撃照準機(?)が付くだけでがらーんとしています。
シートは共に同じもので4分割されていてダボ穴も何も無いので組みにくかったりします。航法士席は中央より右にオフセットされています。説明書では前後のフロアが一体になるように指示されていますが仮組みしたところそうはならないようで写真のようにそれぞれ別にセットするのが正解のようです。この位置決めも非常にしにくいので左右の胴体パーツと合わせながら曲がったり隙間が出来ないように接着します。

あっさりしてるわりには組み立てに苦労するコックピット。

胴体中央には弾倉があります。キットではこの部分に3000kg爆弾、500kg爆弾、250kg爆弾を搭載できるようになっています。胴体パーツとは弾倉内壁上部が干渉するので削ってやらないとうまく収まりません。
またこの弾倉とコックピットの間の空間に重りを入れなければなりません。説明書に30gとある通りかなりの重さが必要となります。私は大き目の釣り用重りと粘土をぎっしり詰めてなんとか重心位置を主脚より前に持ってこれました。

胴体と同じくらいの太さがあるエンジンナセルは左右それぞれ10個ほどのパーツから構成されます。外側の部分だけでも6つのパーツに分割されているので接合部分の修正が大変です。位置決めも大変でしかも断面形状をみて向きに気をつけないといけません。内部にはファンではなく遠心式ターボジェット独特の燃焼筒らしきモールドがありますが組み立てるとぜんぜん見えなくなります。主脚格納室内壁パーツは折り曲げて接着するという変わったもので、しっかり癖を付けておかないと接着剤が乾く前に元に戻ろうとしてしまいます。外側には円く穴を空けてクリアパーツのランディングライトを埋め込みます。


やたら分割されているエンジンナセル。

主翼は左右とも上下に分割されていますが下部はさらにナセルの外側と内側に分かれます。胴体に取り付ける際の角度も決め難いのですが主翼は水平、水平尾翼には上反角が付きます。
尾部には銃座がありますが内部にはテーブルが1つあるだけです。窓、ターレットとも胴体との合いは悪く、この部分にはかなりの量のパテを盛ることになります。機首の航法士席の窓も合いは激悪で部分的に2mmぐらいの隙間が出来ます。とにかくパテを盛る量が多く肉痩せも激しそうなので時間をかけて乾燥させます。

パテ埋め乾燥中。特にクリアパーツは合いが悪い。
(05/10)

扉類は合いというより形状が変で航法士席上部のハッチや尾部銃座下部にある脱出扉兼スピードブレーキが胴体の曲面と一致しません。開いた状態にすれば問題ないですが、内部が再現されていないのでやはり閉じて修正します。
コックピットキャノピーは3分割されていますがこのパーツ同士でも合いが悪く厄介、素直に1ピースにして欲しかったところです。シート後方の仕切りとも干渉するので削ってやらないと接着できません。

機首の左右にある機関砲はキットでは砲のある位置が窪んでいるだけですが、実機ではNR-23 23mm機関砲の砲身が顔を出しています。そこで少し彫り込んでからピンバイスで開口し、真鍮線(スケール的にパイプは無理)を差し込んで再現してみました。ついでに右翼端のピトー管も真鍮線に取り替えます。


機首の機関砲は良いアクセントになります。

とにかく修正箇所が多いのでパテ盛り→乾燥→ヤスリがけ→パテ盛り...を1日少しずつ繰り返すこと10日、まぁ満足いくところで妥協してサフ吹きに移行します。
サーフェイサーを軽く吹いた(と言うか途中で無くなった...)ところで塗装します。銀の缶スプレーをささっと吹いてお終い。もうこれ以上時間をかけずに一気に終わらせてしまおうという態勢になってます(笑)。

(05/20)

脚はいずれも脚柱1パーツとタイヤだけのシンプルなつくりです。前脚は航法士席のフロアの裏に取り付けるのですが、フロアが説明書通りに取り付けられなかたっためガイド穴を無視して接着しました。とりあえず3つの脚を付けて床に置いてみると機体がやや前傾姿勢になってしまいます。実機の地上姿勢を見るとほぼ水平かやや機首上げです。そこで主脚柱を3mmほどカットして接着しました。それでも全体的に脚の長さが長いように感じます。

アクセサリーは弾倉内の爆弾の他、翼端タンク、RATO(離陸補助ロケット)ボトルがセットされています。翼端タンクは装備しない国もあるので注意が必要となります。


4ヶ国空軍のマーキングがセット。

デカールはイタレリ独自のものがセットされていて、余白がほとんど無く、薄くて凹凸部分に良く馴染む素晴らしいものです。ただマーキング自体は国籍標識と機体番号ぐらいしかないので何か惜しい気がします。
そのマーキングはソ連、ポーランド、東ドイツ、フィンランド各空軍のものがセットされています。

塗装が銀一色と単調でしかもモールドが目立たないので、最後に軽くモールドに沿ってスモークを吹きます。


なんとか完成
作りにくいことは作りにくいのですが修正して上っ面だけでも見栄えをよくすればなかなかのものに仕上がります。細部に手を加えれば一層見栄えが良くなるのでしょうが私もあまり手持ちの資料が少ないのでどうしようもありませんでした。
さてようやくキットも作り終えたことなのでまたFALCON4.0でIL-28でも撃ち落しに行くことにします。ゲーム中でしか見たことない航空機をプラモデルで作るとまた違った印象を受けるかもしれませんね。

主翼とエンジンの配置がドイツのジェット爆撃機Ar234に良く似ています。
当時は同じエンジンを積むMiG-15とともにソビエトを代表する航空機でした。


尾部に23mm機関砲を2連装した銃座があり、銃手は通信士も兼務。
この部分はあらゆるパーツの合いが悪くこのキット最大の難所とも言えます。

(05/24)

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