North American
XB-70 VALKYRIE

AMT/ERTL 1:72

しばらくぶりのプラモ製作
1年半ぶりにプラモデル作りを再開。リハビリを兼ねて小さく簡単なものから作ろうと溜りに溜まったストックの中から選び出したのはAMTアーテルの1/72 XB-70バルキリーです。全然小さくないんですが長いブランクで製作意欲が薄らいでいるところにモチベーションを与えるには最適なキットじゃないかと思います。
“バルキリー”実機について
"バルキリー"知らない人は少ないでしょう。「ああ知ってる、マクロスのね」ってボケが必ずありそうですが、実はこのXB-70バルキリーのプラモの箱にもビッグウェストの商標使用証明シールが貼られています。全然違うだろーって気もしますが“バルキリー”って言葉は登録商標になっちゃてるんですね。XB-70の方はTVアニメより20年も前にこの名前がつけられていたわけですが...

そのXB-70Aの1号機が初飛行したのは1964年9月21日。B-70は高々度をマッハ3で巡航する爆撃機として開発されました。高々度高速度侵攻というのは大戦以来続いていた爆撃機の戦法でありB-70はその思想の延長上にある究極の爆撃機と言えるでしょう。しかし早期警戒レーダーや地対空ミサイルの発達により爆撃機の戦法は低空侵攻が主流になり、試験機XB-70Aが初飛行したときにはすでにB-70の爆撃機としての開発は中止されていました。結局試験機2機だけの製作となったわけですがそのうち2号機は墜落事故で失われています。残された1号機は1969年まで試験飛行を続け現在は空軍博物館に展示されています。


キットについて
メーカーはアメリカのAMT/アーテル、スケールは1/72です。このスケールのXB-70としては初のキットでしょう。この私がこのキットを購入したのは2年ほど前、このキットが発売された直後だと思います。

写真じゃ伝わらないでしょうがとにかくでかいんです。

箱を開けて最初に思うことは"デカい!"ということです。実機が大きいわけですから当然ですが主翼パーツだけでもすでに同じ1/72の戦闘機の大きさを遥かに上回っています。成形色は白に近いライトグレーでモールドは胴体下面の一部が"運河"気味な凹になってるほかはすべて凸となっています。下の写真を見てもわかる通りパーツ自体は大きいもののパーツ数は意外と少なく、組み立てるだけなら簡単にできてしまいそうです。外プラのお約束で箱を開けた時にはすでに一部のパーツがランナーからもぎ取れていて、最悪だったのはデカールが傷だらけで穴まで空いているという始末でした。


製作
そういうわけで制作は凸モールド部分のスジ彫りからとなるわけです。パーツは大きくてもモールドの数自体は少ないのでそれほど大変な作業ではありません。実機と異なるところがあるので気になる部分だけ彫り直します、特に主脚ドアあたりは実機と全然違います。白の重ね塗りが予想されるので深めに彫るようにしました。また、各翼の前縁・後縁がだるく厚ぼったいので削ってやります。

組み立てはまずコックピットからです。フロア(1)、計器版(1)、ヨーク(2)、シート(4)の8つのパーツで構成されます。計器はモールド表現です。XB-70の特徴でもあるカプセル式脱出シートの形状も再現されています。計器が実機と違うとか2分割されたシートがいまいちなど問題が無いわけではないですが、いずれも完成後はほとんど見えないのであまり神経質になる必要はなさそうです。


良く出きているコックピットですが完成後はほとんど見えません。

次に機首部分の組み立てです。機首から胴体へと続く部分は4つのパーツに前後と左右の4つに分割されています。さらにこのキットではXB-70の特徴でもある風防バイザーの上げた状態と下げた状態の2つのパーツがセットされています。どちらかに固定するのはもったいないので後から付け替えられるようにしたいところでしたがこのあたり(に限らないのですが...)のパーツの合いが非常に悪いためやはりどちらかに固定して修正する必要があり、私はバイザー下げで固定にすることしました。


左がバイザー上げ、右がバイザー下げのパーツ。

実機は高速飛行中はバイザーを上げて抵抗を小さくし、それ以外の時はバイザーを下げて視界を確保していました。さて写真を見ての通り(小さくて見にくいですが)風防パーツの周りにはかなりの隙間が出来るためパテで埋める必要があります。しかし透明パーツ周りの修正なので瞬着で内側が白化したりパテを押し込んで内側にはみ出したりしないよう注意が必要となります。
機首先端のプローブは形状が悪いので真鍮線&パイプに取り替えます。

機首のパテが乾くのを待つ間に主翼部分も組み立てます。内翼は左右とも上下に分割されています。しかしパーツを見た時いや〜な予感が漂っていて、仮組みすると案の定合いが悪いはバリは出てるはでかなりの修正作業が必要になります。後縁も厚ぼったいので薄く削ました。とにかく4つのパーツの合わせ目が集中する先端部分はエアインテークの上壁にもなる部分でもあるのでパテや瞬間接着剤を用いてしかっり修正します。


隙間が多いのでパテ盛りも大変。

機首、主翼と平行して下部胴体部分も作っておきます。と言っても下部胴体は一発抜きの巨大パーツとなってるため作業はこれにインテーク内部とエンジン基部のパーツを付けるだけです。

しかしここで気になる点が発覚。主翼部分と組んでみるとインテイク内壁上部のモールドとインテイク側面外壁、さらに中央のインテイク仕切り側のモールドとが一致していない。インテイク外壁にいたっては上に向かってやや後退角ついている始末(実機は垂直)。
解決策としてはいろいろ考えられますが私はまず仕切りのモールドを基準にし、上部のモールドをやや後まで削り、それに合わせて外壁をプラ板で前に延長することにしました。


左が修正前、右が修正後。まぁ微妙な違いなんですけどね...

金型の精度が悪いのか主翼パーツの先端部分が揃ってなかったり下部胴体の先端部分も丸くなっています。実機ではこれらの部分は痛そうなくらい鋭く尖っています。ここはパテで修正しましたが強度を考えるとプラ板で作り直した方が良かったかもしれません。

修正を続けるうちに機首部分と主翼部分がだいたい仕上がったのでこれらを接着します。ただこれらの接合部分にもかなりの隙間が出来ます。なるべく隙間が出来ないよう機首部分をかなり強く押しつけて接する基部が広がるようにし瞬間接着剤で固めます。


瞬間接着剤を流し込んでガッチリ固定

インテイク内とジェットノズル周りを塗装してから下部胴体を接着。この部分は比較的合いはいいのですがそれでも一番前と後ろに隙間が出来るので修正します。この時点で巨大な機体がほぼ形を成します。

胴体のパテ埋め&ペーパー掛けの合間に脚を作ります。計10個のタイヤは各々左右2分割されていて自重変形したものとなっています。タイヤは前後とも同じサイズですがホイールの形状のみ異なります。また実機のタイヤには耐熱コーティングが施されているのでこれは装で表現します。脚柱は各2パーツであっさりと組みあがりますがそれでも形状はちゃんと再現されています。


脚パーツ。左が前脚。
一通りペーパー掛けが終わったら白サフを吹きます。1本あれば十分と思ったら吹き直しが多くなってしまったため途中で切れてしまい一時作業が中断してしまいまいした。

サフ吹きが終わったらようやく塗装です。全面白塗装は白の缶スプレー2本で済ませてしまいました。白サフで下地が出来ているのであまり重ね塗りせず済みました。機首のアンチグレア部分を艶消しの黒、翼のヒンジ部分を艶有りの黒に塗り、以上で塗装終了。

塗装が終わったら脚や外翼パーツなどを取り付けます。外翼はヒンジパーツを介して取り付けます。実機は高速飛行中は外翼を下に折り曲げて方向安定性を高める機構があります。キットには水平位置と65°下げのパーツがセットされていますが地上姿勢では外翼を65°下げると翼端は地面より下になってしまいます。接着せず垂直尾翼は差し込むだけにしました。


外翼下げのヒンジパーツもセットされている。


脚&扉を取り付けて組み立ては終了!

最後はデカール貼り。NASA時代のロゴもありますがデカールの数は少ないです。ニスが厚く浮く傾向があります。先にも書いたようにデカールの一部にそれほどひどくはないものの穴が空いてしまっているのでこれらは機体下面にできるは下に貼り、塗装で穴を目立たなくしました。


完成!
大きくて作業がし難いのと修正個所が多いのとで(しかもブランク明けで)作るのはなかなか大変でした。特にパテ埋め&ペーパー掛けの繰り返しは途中で飽きそうになってしまいました。しかし完成したバルキリーは実機同様美しいと同時に迫力があり、手間を掛けた甲斐は十分にあるものとなりました。

同じ1/72のF-4との比較。大型戦闘機のF-4ですら小さく感じられます。
なぜか上にあるのは109キーボード。もちろん1/1です。

完成後の写真はこちら

完成後に1つの重大な問題があることに気づきました。置き場がない...


戻る